朝、洗面台の前に立っていた。
歯をグチュグチュやっていた。
鏡前に群がっているチューブ達に目がいった。
「いったい何種類あるんだ?」
「なぜ、こんなにあるんだ?」
一人づつが、一本づつ使っている訳ではない。
一人が、何本も使っている。
毎回、気が向いたヤツを絞り出している。
最初に購入した時には、その歯磨きの効能なりを理解していた。
しかし、使い続けると、効能に興味がなくなる。
単に、気まぐれが、違うヤツを手に取らせている。
その気まぐれが、片寄るケースもある。
毎回、優先的に手にとられる歯磨きが決まる。
すると、そいつだけ、やせ細ってゆく。
やせ細り、貧相にしぼんでゆく。
途端、急に興味が他に移る。
プックラ腹を膨らませたチュウブに心が移ったりする。
身勝手なものだ。
しばしの間、プックラ君が私の対象チューブとなる。
すると当然、いつかプックラ君がプックラでなくなる。
「ボクはプックラしたおなかを押したかったのにぃ・・
へちゃった腰の辺りを絞ってもなあ~」
こうやって、チューブ達は、平均化され、
似たような体形で並んでいる。
新人が現れるまで、平和なひとときが続くのである。
さて、今朝は、どの歯磨きにホホを寄せようかのう?