《イレクターパイプ》なる大工道具がある。
日曜大工系の量販店で売っている。
パイプを組んで、棚だのを作ろうというもくろみだ。
このイレクターパイプは、簡単にパイプをカットできる。
そして、それぞれのパイプを専用のジョイント部品で繋いでゆく。
最後に、専用液体をつければ、ガンコに固まる。
これまでも、このパイプを使って、様々なモノを作ってきた私だ。
今、取り組んでいるのは、ハイエース内のラック造りである。
ボードやセールなど様々な道具を整理整頓する為に、
棚を作っている。
ペンクル(ペンション車)用のベッドも拵える。
かなり複雑な形状となる。
ジョイントだけで、70個。
パイプの総延長も、30mになる。
まず、設計図を描く。
頭の中で図面をひく。
夜中、眠りと眠りの間に、脳みその図面はできあがる。
目を覚ましたら、鉛筆を握り、
思い描いた立体図を具現化してゆく。
ああでもない・・こうでもない。
頻繁に、消しゴムが登場する。
できた!
次に、定規を持ち出し、
<鉛筆画>を正確な<寸法画>に清書してゆく。
できた!
2枚コピーをとる。
それぞれの図面に、
寸法を書き込む作業。
ジョイントの形状を書き込む作業。
できた!
この2枚を持って、ホームセンターに向かう。
材料を買い込むのである。
計算に間違いがあると、何度も、
ホームセンターに通わなければならなくなる。
設計図の確認が重要である。
几帳面な性格が要求されると云われている。
さあ、買い物を済ませた。
いよいよ、トンテンカンの始まりだ。
車庫に、ブルーシートを敷き詰め、作業に入る。
やる気を鼓舞するための、必需品はハチマキ。
休憩用のお茶と、新聞も用意した。
~~~ ~~~ ~~~
5時間後、ほぼ形態が組みあがった。
アレッ?
部品が一個足りない。
90度に曲げる為のジョイントだ。
さっきまであった。
手に持っていた。
ど・どこにいっちゃったの?
車庫内をくまなく探す。
この5時間、人は尋ねてきていない。
ここから出たのはトイレ2回。
消えるハズがない。
動いた空間をすべて、探しまわる。
・・・ない!
ど・どういうこと?
以前、このイレクターパイプを組んだ時、
やはり、一個の部品がなくなった。
後日出てきた記憶もない。
<怪奇事件ファイル>の言葉を借りるなら、
「忽然と姿を消した」・・・
その言葉を今回も使いまわしたい。
「再び、忽然と姿を消した、恐らく異次元の世界へ」
ホームセンター行ってきま~す。