家の前に、ツクシが生えている。
大量に顔を出している。
よし、食べよう!
ものの5分で、数十本が摘み取られた。
子供の頃は、胞子がとんでしまったツクシが好きだった。
しかし、大人になると、胞子がとぶ前の、
緑色のしっかり締まったツクシに興味がある。
その
淡い苦味に惹かれる。
ハカマを取り去ったあと、
簡素に味噌汁にした。
春の野の香りがする。
海辺に行くと、
潮の香りがすると表現するが、
アレは、海藻の匂いだと言っていいだろう。
それにならえば、春の野の香りとは、
ツクシを代表とする、雑草の匂いだと言ってみよう。
そうやって、周りを眺めてみる。
ツクシの傍に、
ノビルが生えている。
この球根も苦味があって旨い。
味噌ダレでいただいた。
その隣には、
三つ葉が群生している。
これも、昨夜のオヒタシになった。
ついこの間までは、こっそり芽を出した
フキノトウを、
天ぷらにして食べていた。
コレだって、苦味の主張で生きている。
春先は、苦味の競演という事だろうか?
たぶん、そうじゃないナ。
自然に土から出てくるものは、ほとんどが苦い。
草も花も苦い。
動物に食べられないように、必死で生きているとみられる。
その苦さを、旨さとして調理してきた我々は、
逞しきひねくれ者なのかもしれない。
ツクシさん、ごちそうさま。
三つ葉さん、ごめんなさい。
ノビルさん、のびてくれてありがとう。