《ウッドデッキ》
憧れは、ウッドデッキだ。
海の近くの一戸建ての家を建てたとする。
デッキが欲しい。
望むらくは、ウッドデッキだ。
ウッドを呼ぶからには、木製でなければならない。
デッキを呼ぶからには、広々としていなければならない。
その二つの言葉を合体して、
ウッドデッキと呼ぶからには、
夢がなければならない。
ウッドデッキで何かをするという具体的な想いが、
沸々と浮かんでこなければならない。
バーベキューだろうか?
星空観測だろうか?
昼寝だろうか?
ま、まさか、ただの洗濯物干しだろうか?
で、アナタが、ウッドデッキを造ったとする。
そのデッキ、そのままでは、保ちません。
雨風に晒されれば、木は朽ちる。
それも短時間で朽ちる。
海の近くで、造った場合、
新品のウッドデッキで、5年保てばいいほうだ。
ほんじゃどうする?
「イシマルさ~ん、ペンキ置いときま~す」
ペンキ職人のケンジ君の登場だ。
マスキングテープと防腐ペンキを届けてくれる。
ペンキを塗る行為に異常に興奮する私がいる。
刷毛を持ったら離さない私がいる。
クライミング道具を駆使し、壁に張り付く私がいる。
そこに、職人ケンジ君の言葉が・・
「あのネ、顔やら服にペンキが付いても何とかなるけんども、
髪の毛に付いたら、切るしかないヨ」
な~るほど、それで、ガテン系は皆、
頭にタオルを巻いているのか!
『で、ケンジさ、なんとかなるって言ったけども、
顔に付いたペンキ、どうするんだ?』
「へへへ」
『へへへじゃないヨ、どうすんだヨ?』
「ふふふ」
『ふふふじゃないヨ、おいおい?』
「雨降ってきましたネ」
『うん?』
「雨風吹くと、ペンキ屋は休みになるんです」