《ヤガラ》
写真に写っているのは、アカヤガラ。
体長は、1m50センチほど。
ヤガラの特徴は、顔が長い。
馬ズラの最たるモノだ。
身体の大部分が長い顔と言っていい。
これは、ある意味不思議だ。
魚たちの中で身体が長いモノと云えば、
ウナギ
アナゴ
ハモ
太刀魚
次点として、
秋刀魚がいる。
しかし彼らは皆、端正な小さい顔をしている。
美人の代名詞、八頭身はおろか、
十頭身、二十頭身は当たり前の世界である。
その中で、一見、長い魚の仲間を気取っているヤガラだ。
もし、長い魚会議がひらかれたとしたら、
彼はその席に座っていられるだろうか?
議長 「えぇ~君、そこの君、なんか顔が間延びしている君」
ヤガラ「ボ、ボクですか?」
議長 「居てもいいけど、発言しないようにネ」
ヤガラ「はい・・・? え~とぉ~なんで?」
議長 「君の顔の重量分で、よけいな出費をしいられるんだヨ」
ヤガラ「ええ~~?」
議場 「だから、そうやって顔を伸ばして嘆かな~い!」
ヤガラ「ヌォオ~~~」
会議から放り出されないものの、末席に追いやられるヤガラ。
陸上には、顔が長く伸びてしまった動物を度々見かける。
海中にはそんなヤツはいないのかと探した結果、
やはりいた、それはヤガラだ、という理解の仕方をしよう。
以前、南の島の環礁で泳いでいた時、
真下に、大きなヤガラを見つけた。
持っていたモリを突き刺すと、いとも簡単に捕まえられた。
その夜、鍋にしたのだが、
体長の長い魚にありがちな小骨の多さにへいこうした。
ペッペッ
小骨を吐き出しながら、皆が口にする。
「うまい魚なんだがなあ~小骨だらけだなあ~」
未だに、食べ方が分からない。
でも、天下の築地に卸されるのだから、
きっと価値が認められている筈。
特に、顔はどうやって食べるのだろう、わからん。