《アイナメ》
鮎魚女などとも書かれる。
この魚、魚界では、名前の筆頭に書かれている。
《あい》で始まるのだから、当然だ。
同じく、アイで始まる相沢さんや、相川さんは、
その苦労を知っている。
携帯電話が世に広ろまった頃だった。
相島さんの携帯は、常に鳴っていた。
誰かが、ポケットに入れているらしい携帯のナンバーが、
勝手に触れて発信される。
筆頭番号が押される仕組みだった。
筆頭とは、ア行だ。
登録したア行の筆頭の相島さんの携帯が、鳴りだす。
リ~ンリ~ン
出るのだが、誰もしゃべってこない。
ザッザッザッ
歩く足音だけが聞こえてくる。
気味が悪い。
ホラー映画的な静けさに、相島さんは、気味悪がった。
アイナメにその責任はない。
アイナメは、岩礁地帯で釣られる。
その動物としてのアグレッシブさにたけている。
釣り師は、「引きが強烈!」と表現する。
釣れて海面から揚がった魚で、最大の暴れ方をすると言っていい。
ピチピチではない。
ブゥワチ、バチバチクネクネ、ブゥワ~チってなもんだ。
大阪的なら、「しばいたろか!」と暴れている。
さらに、釣り師は、
釣りあがったアイナメの大きさを表現するのに、
酒瓶を持ち出したりする。
「ビール瓶サイズやな!」
時には、
「一升瓶やで!」
大げさかと思いきや、実際そのサイズなのだから、驚く。
で、旨いのかって?
ふふふ・・教えませ~ん。
ゴクン