《アマダイ》
北陸では《グチ》と呼ばれる
タイと名付けられる魚は、大勢いるが、ほとんどの魚は、
鯛と関係がない。
親戚関係はない。
「ツボダイ」だの「エボダイ」だの大勢いるが、
殆ど、知り合いですらない。
これはアレと似ている。
《○○銀座》
日本全国にたくさんある銀座・
東京の銀座にあやかって、付けられた名前だ。
その銀座の部分が、鯛と云う訳だ。
「あんたインチキ名前だろう」
と言われた魚の中で、このアマダイ。
存在感は、鯛をしのいでいる。
アカアマダイとシロアマダイが海中に泳いでいるのだが、
その絶対数は少ない。
ゆえに、釣れない。
よもや、魚屋でも希少魚に分類される。
つまり、お値段が張る。
アマダイの顔は美しい。
女性的な神々しさに満ちている。
その目は、みずみずしく、目張りさえ引いている。
目つきは殆ど、女子アニメの世界だ。
ゆえに、「アマダイは全員メスだ!」、
と思い込んでいる人さえいる(らしい)。
ただ、悲しいかな、どこかぼんやりした印象がある。
ヌボーとした顔つきのセイだろうか・・
その身は、柔らかい。
かなり柔らかすぎて、刺身は、昆布〆めにしたりする。
関西や北陸では、ノドグロと横綱を張り合っている。
両横綱がそろって出される料理屋は、接待でしか行けない。
接待されたのに、箸でつつくだけで帰ったりすると、
人格を疑われる事もある(らしい)。
品位の品定めに使われる魚ともいえよう。
(いえません)
しかし、釣り人には、悩みがある。
アマダイが釣れた時、目を合わせるのが辛い。
あまりも美しく麗しいその目で見られると・・・
(逃がしてあげようかなぁ~)
やはり、メスだと思い込んでいるのである。
どうだ!この目線からアナタは逃れられるか!