「行きま~す!」
長年、行きたかった、探検洞窟に、車を走らせた。
岐阜県の山中である。
洞窟探検家の吉田さんのテリトリーの、
《探検洞》
もちろん日本地図にも載っていないし、
カーナビ案内表示もない。
秘められ過ぎて、
知る人ぞ知る人さえ、たどり着けるかどうかの、洞窟である。
そんな洞窟を、アドベンチャーコースとして、
提供しているというのだから、行かない手はない。
言ってみれば、日本初の、
《洞窟探検の初級者~中級者来なさ~い》
のドキドキ場所だ。
そのドキドキを求めて、探検洞に向かった。
持参した洞窟用ヘルメットに、REDヘッドライト。
上下ツナギに長靴。
山中に踏み込んだ所で、穴、現れる。
・・・いきなり、思いのほか、入口が狭かった。
(心せよ、我は、冒険に挑むのだゾ)
入口に身体を押し込む。
その先に、鉄製の檻があった。
鍵がかかっている。
許可なくこっそり誰かが入り込むと、
迷って出てこれなくなる可能性大だ。
その為、出入りを管理している。
10mも進むと、もう外界の光は届かない。
洞窟は、角を2回曲がれば、光は届かなくなり、
3回曲がれば、音も届かなくなると言われる。
吉田さんを隊長として、計6人がもぐってゆく。
もぐるという文字どおり、すぐに穴は狭くなった。
這いつくばって、小さな穴に滑り込んでゆく。
一番身体が大きいのが私だ。
皆が、なんなく通り過ぎてゆく穴に頭を突っ込む。
「通れるかな?」
当然の不安がおそう。
『頭が入れば、たいがい通れるネ』
軽く吉田さんがのたまう。
「え~そりゃ、猫の話だろう?」
『詰まったら、息を吐いて!』
「い・息を吐いても、つ・詰まったら?」
『もっと吐いて!』
励まし方が、非日常的である。
入りま~す
頭は入りました~
肩も入りました~
先は続いてま~す