《熱中症》
医学的には、イヤな言葉だ。
しかし・・・個人的には、忌むべき言葉とは思えない。
なんたって、《熱中》しているのである。
熱中して何が悪い!
熱中する趣味を持っていて、何が悪い!
その昔、《熱中時代》というテレビドラマもあった。
熱中先生すらいた。
教壇に仁王立ちし、
「お前たち、熱中しろ!」
チョークを黒板にぶつけていた。
「君ら、熱中するものがないのかぁ!」
ツバを飛ばし、コブシを振り上げ、先生そのものが熱中していた。
不思議だ・・・
なぜ、ある時、この
熱中という言葉を、医学用語にしたのだろう?
その昔は、似た用語があった。
《日射病》 にっしゃびょう
これは、頭のてっぺんに陽射しが照りすぎて、
おかしくなる症状を表している。
帽子をかぶれと促された。
同じく、こんなモノもあった。
《熱射病》 ねっしゃびょう
これは、陽射しだけでなく、暑さで身体が弱る場合を表している。
つまり、現在の熱中症に似ている。
そこから進化したのだろうか?
ある日、熱中症なる言葉が、世間に現れた。
テレビなどで、語られ始めた。
それはそれで、医学的には間違いではないのだろう。
しかし、その日まで、
熱中する事に主眼を置いていた、
アスリートだの、冒険家だの、お馬鹿だの達は、
自分たちの熱中度を測れなくなったのだ。
表現する言葉を失ったのだ。
「私、柔道に熱中してます!」
「オレ、ラグビー熱中です!」
「ぼくの将棋の熱中さ、ハンパないです!」
これらすべてが奪われた。
誰だ?
熱中という言葉をおとしめたヤツは!