あまりの旨さに通う店がある。
昨日のマグロの店だ。
ハラミぶつ切り刺身、1680円の店だ。
懲りない私とマネージャーが、再びくりだす。
わざわざくりだす。
ヨダレを垂らしながら、店に辿り着いた。
個室に通される。
座る間もなく・・・
「マグロぶった切りください!」
二人の声が、リエゾンする。
気持ちよくハモッたという意味だ。
・・・っと、係りの女性が仰る。
「申し訳ありません、今夜売り切れてしまいました」
・・・・・
オジさんふたりが黙った。
しばらく黙った。
このまま永遠に黙るかというくらい黙った。
黙り続けるのもいかがなものかと気付いた私が、口を開いた。
「似たようなモノはありませんか・・・?」
答えはなかった。
この夜。
オジさんたちは、グチをこねる自分を戒めながらも、
ぐじぐじと、ネチネチと、
ぶつぶつ文句ばかりの、ぶうたれた酒をいただいたのであった。