アオウミガメが眠っている近くで、たゆたっていた。
たゆたうとは、
ぼんやりに似ている言葉だ。
勿論、海中である、
水深20mあたりの海底に、アオウミガメが20匹以上、
たゆたっている。
鹿児島県の与論島(よろんじま)の海の底だった。
冬になると、アオウミガメが、ある場所にジッとしている。
どうやら、その場所が
安心できる場所らしい。
もしくは、
眠る場所らしい。
あるいは、
病院なのかもしれない。
そこで、ジッとしていさえすれば、長生きできるのだろうか?
我らは、邪魔をしないように、アクアタンクを背負って、
そ~っと・・そ~っと、近づいてゆく。
10mも近づいた所で、静かにたゆたう。
彼らと同じように、潮の揺れに任せて、たゆたう。
ぼんやりする。
私のアクアラングから、気泡がブクブク漏れる。
はるか上方の海面に向かって空気の泡が登ってゆく。
ふと、目の前のアオウミガメを見る。
アブクのたぐい、何も出ていない。
相当長い間、何も出ていない。
ん・・?
亀?
亀って、爬虫類だよネ。
両生類じゃないよネ。
っという事は、空気吸うために、
水中から出なければいけないよネ。
え~~~~~?
彼ら、どんくらい潜ったままなの?
眠ったままなの?
気を失ったままなの?
なんで、浮かんでいかないの?
子供のころ、水中息止め合戦をしたものだ。
イルカやクジラには、もちろん勝てないが、
よもや、亀には、絶対勝てないナ。