私の好きな城の一つが、松本城。
ナンバーワンと言っても差し支えない。
天守閣がある城としての、魅力に満ちている。
一言でいえば、<戦う為の城>である。
「え~他の城だって、戦う城じゃないんですか?」
ちょいと違うナ。
戦国時代ならいざしらず、江戸時代に造られた城は、
戦うというよりは、美しさであったり、権力の象徴であったり、
殿様のオモチャ的な城が多い気がする。
その中で、松本城は、文字通りの戦う城なのだ。
敵が攻めてきた場合の備え方に、
これでもか的な危機管理を貫いている。
攻める方が、様々な無理難題を押し付けられる。
対して、守る側は、安全な状態で敵を倒す事ができる。
例えば、天守閣は5層になっているのだが、
一つ上の階に上がるのに、
とんでもなく狭く急傾斜の階段を登らなくてはならない。
今では、観光客が、そいつを登ろうとするのだが、
あまりの急傾斜に、テスリを掴んでいても簡単にあがれない。
「ヒェ~こわいよぉ~」
渋滞を引き起こしている。
こんなところを侍が登ってくるとしたら、
上からいとも簡単に弓矢や槍で刺し殺されてしまう。
「天守閣待ち50分です」などというアナウンスが流れたりする。
平日の、それも団体客がいない時を見計らって、
登城するのが懸命だ。
木で造られた城は内部が実に面白い。
最上階の屋根裏部分には、
四方を支える大木が、交差している。
城の作り方を教えてくれているようで、興味深い。
「種も仕掛けもございません」
当時の職人大工の気概が満ち満ちている。
「くぎ使ってません」
当たり前の口上が聞かれそうだ。
最近、夜の水族館に泊まるツアーがあるそうだが、
古城宿泊ツアーはないだろうか?
国宝なので無理かもしれないが、
天守閣で寝てみたいものだ。
いにしえのあらぶる武者に想いをはせながら・・・
三階の間でしばし黙想