大分県に帰ると、無性に食べたくなるものは、
《関サバの刺身》
サバの中で、その身の旨さに高額がついているブランドサバだ。
一本、数千円もする。
関サバは、刺身で食べるのが最もおいしい。
というより、刺身かシメサバ以外では食べないほうがいい。
関サバの旨みは、筋肉の閉まり具合である。
豊後水道の激流で育ったために、常に泳ぎ続け、
コリコリとした触感の筋肉を身につけた。
DNAが変わったと言っていい。
ノルウエーサバのように、脂が漲っている旨さではない。
試しに、関サバを干物にして焼いて食べてみても、
パサパサしているだけで、「なんじゃこりゃ」で終わりだ。
もちろん、冬場になればそれなりの脂がのり、
包丁がギトギトしてくる魚体になる。
こいつが好きだという方もいる。
しかし、本来は、絞まったコリコリ感の中の、凝縮された旨みに、
舌を鳴らすのが正しい。
サバを生で食べるのに抵抗がある方も多い。
あたる問題が起因している。
ところが・・
これだけサバの刺身を常食している大分の人たちなのに、
サバにあたった情報は少ない。
驚くでしょうが、大分では、スーパーの刺身売り場に、
当然のように、サバの刺身が並べられている。
マグロやブリと並んで、安い値段で売られている。
たまに、関サバもちょいとお高い値段で顔を見せる。
お母さんが、今夜のおかずに気軽にかごに入れている。
東京では考えられない風景だ。
ご当地の考え方として、
「今日捕れたサバなら刺身で大丈夫」
これに尽きる。
おとうさんが、晩酌にサバの刺身をついばんでいる横で、
子供たちが、やはりサバの刺身でご飯を食べている。
「ボクのからだはサバでできてるんだよネ」