大遠足の次の日、我々5人は、三浦半島の岩礁地帯にいた。
以前から、私が繰り返し歩いている場所だ。
何度も通い、地図作りに興じている所でもある。
非常に歩きづらいが、野性味あふれる自然の地形がそこにある。
走ると危ない岩地だ。
《ゴジラの背中》と私が名付けた地帯などは、
よくよく足元を観察しながら歩かないと、転んでケガをしてしまう。
なんせ、尖った岩の連なりである。
そこは、私のサスケ鍛錬場でもあり、
<少しだけ危険な場所で動きまわってこそ、神経が鍛わる>
との格言を自分で作り、実践している所でもある。
その少しだけ危険な場所へ、遠足隊も率先して分け入ってゆく。
「携帯電話はこの先は持って行かないようにネ」
滑って水に落ちたら知らんよ・・との暗示をしている。
「イヤだ行かない」という言葉は、我々にない。
途中、一本の杭が立っていた。
「この杭に、誰か登れるかナ?」
命題を与える。
一辺10センチ四角、高さ1m20センチ。
一見、いとも簡単に登れそうな棒杭。
なぜ、そんな命題を出すのか?という顔をしている。
しかし、こいつは、難題も難題!
まず、両手を杭の上部に置いたとすると、足を上げる場所がない。
足を上げようにも、バランスが非常にとりずらい。
ある意味、ボルダリングの課題と言っていい。
ツッシーが果敢にも挑戦した。
ああやったり、こうやったり・・・
知恵をしぼった挙句、最終的に頂上に両足で立ったのである。
パチパチパチパチ
ピンヨロ~
トンビのあほ声を聞きながら、
岩礁探検は続くのであった・・・