《ソウダガツオ》という魚がいる。
本ガツオより、はるかに魚体が小さい。
海釣りをしていると、時折針にかかる。
暴れまわる魚なので、隣の釣り人の糸にからみ、
おまつりの原因になる。
あげく、「なんだ、ソウダかよ」
なんだ扱いされ、海に戻されたりする。
忌み嫌われるほどではないが、歓迎されていない可哀想な魚だ。
しかし、こいつは旨い!
「本カツオより旨い」と言い放つ人もいる。
(私も隠れソウダファンである)
別に隠れなくてもいいのだが、カツオより旨いと方言すると、
カツオを出して貰えなくなりそうなので、隠れている。
ただし、身が柔らかいので、さばくには、包丁使いが要求される。
よって、釣り人が何気なく持って帰ると、家人にがっかりされる。
自分でさばける人だけが、歓迎され、食卓に出される。
刺し身にすると、なんともいえない甘みがひろがる。
ヅケにしてご飯に乗せれば、お代わり必死となる。
種類として、ヒラソウダとマルソウダがいて、
ヒラの方が、マルより旨いのだが、
その魚体の見分け方が、何度教えて貰っても、
どっちがどっちだったか覚えられない。
詳しく言えば、釣れた時、その魚体の縞模様と形状で、
どちらかがどちらかなのだが、
船長に教えられて納得し、船からあがると、
どっちがどっちだったか分からなくなる。
何年たっても覚えられない。
その理由を考えていて、今やっとワケがわかった。
「どっちかがより旨い」と言っている訳で、
「どっちかがマズイ」とは言っていないのである。
よって、覚えようというモチベーションが上がらないとみえる。