旅をしていると、その夜に何を食べるかが、テーマになる。
「どこに泊まるか」よりも、「何を食べるか?」
言い方を変えると、
食べるモノを探し、特定してから、宿を決める。
大きく分けると、魚なのか?肉なのか?
もっと、突き詰めると、食べるモノを食べてから、宿に泊まる。
つまり、宿は、ホテルでいいという考え。
さあ、ここからが、私の旅だ。
宿はない。
基本的に、ペンクルである。
ペンクルとは、ペンション車。
キャンプ好きな人が増えたおかげで、日本中に、
《オートキャンプ場》が増えた。
オートキャンプ、つまり、車を横付けにして、
そのままテントを張ったり、寝泊りする場だ。
そこに、私のハイエースが横付けになる。
肝心の食べ物は、ご当地のスーパーで買い求めたモノだ。
今夜は、道の駅で買い求めたコイツだ。
《イノシシ肉》 (冒頭写真)
牡丹鍋(ぼたんなべ)とはよく言ったもので、
まさに牡丹の花を思わせる。
グツグツグツグツ
七輪の炭が真っ赤に熾り、鍋にイノシシ肉がおどる。
イノシシ肉は煮ても煮ても堅くならない。
大根もネギも白菜も、イノシシ獣肉汁を滲み込み、
あふあふ鍋となる。
「豚鍋じゃ、だめなんですかぁ~?」
素朴な質問が私にふりかかる。
ふむ、豚か・・・
ダメじゃない・・ダメじゃないが、
イノシシ肉の迫力は、豚とはおおいに違う。
ここで、日本語の<美味しい>と<旨い>を使ってみよう。
豚さんは、確かに美味しい。
イノシシくんは、なぜか旨い。
激しく褒めるならば、
イノシシくんは、「あ~」とか「う~」とか、
感嘆詞付きの旨さにあふれている。
で、今夜のイノシシくんには、
「クゥ~」