《本マグロの大トロ》
四国の、とある道の駅。
「もう、今日で終わりだヨ」的な市が開かれ、
近くの漁港に水揚げされた魚が、大量に売り出されていた。
ブリ、カンパチ、鯛!
その中で、異彩を放っていたのが、本マグロの大トロ。
長さ25センチ、体重ズシリ。
やはり、こいつに目が行く。
いったん手にしたカンパチを、そぉっと返し、
見入られるように、大トロを篭に入れた。
この巨体で、2000円ほど。
ご奉仕品だそうだ。
さて、どうやって食べるか?
キャンプ中である。
七輪に炭火をおこし、暖をとりながら、
まずは、刺身でいただく・・
切り身を刺身醤油に浸す。
たった一切れで、醤油の表面が、脂で光った。
ジュワ~~ン、効果音を入れたくなった。
口に放り込んだ。
舌にのせるや、溶解が始まる。
あまりにも脂が濃い。
江戸時代に、
マグロのトロは捨てられていたとの逸話がうなづける。
旨さを通り越して、脂酔いしてしまう。
ワサビ醤油では、間に合わない。
ポン酢に浸して、口にする。
おお、そうか、炭火があるじゃないか!
炙ってみよう!
網の上に、ドンと置いた。
その瞬間、降り落ちた脂が、炭の炎で、
ボッ!
いきなり燃え出した。
いかんいかん、これでは燻製になる。
いったん避難させる。
どうする?
刺し身状にカットして、一切れづつ、焼いてみるか?
焼いてみた。
ボッ!
相変わらず、燃え上がるものの、なんとか火炎をやり過ごし、
ベリーレア、大トロミニステーキをつくり出した。
ポン酢でペロリ・・
ふむ・・まだ脂が多い。
よし、では、中サイコロ状にして、しばらく炙ってみよう。
トングで摘まみながら、あっちに向け、そっちに転がし、
・・している内に、アレレ?
随分小さくなってきた。
中サイコロが、小サイコロになってしまった。
しょうがない、残りは、フライパンで焼いてみよう。
ジュゥ~
あっと云う間だった。
ほとんどが液体と化し、残存物のなんと小さい事。
反省である。
焼いたりしてはいけない。
焼くなら、バーナーで炙らなければならない。
だって、寿司屋でも、カセットバーナーで炙ってるじゃないか。
ボ~~~~