「う~ス」
「ち~ス」
「んばんわ」
友人たちが、ビールを抱えて我が家にやってくる。
我が家では、
自分の飲み物は自分で飲みたいだけ持参する決まりだ。
すると、己が愛する缶ビールを、
飲みたい量より、
ちょいとだけ多く持ってくる。
で、酒宴が始まる。
終わる。
冷蔵庫に残されたのは、それぞれの愛するビール。
S社のビール、A社のビール、P社のビール。
突如、冷蔵庫を半分占拠してしまったのは、
私にとって二番手のビールなのだ。
一番と二番に、さほどの差はない。
しかし願望は、
晩酌の一杯目は、K社のビールが飲みたい。
ここは我が儘を通したい。
シコッ
晩酌に、Kだけを飲む。
したがって、二番手はいつまでたっても、なくならない。
困る。
っと、そんな時、我が家の
冷蔵庫の掃除人、滝田くんが現れる。
見境なく掃除してくれるので、重宝している。
「ビール、勝手にのんでネ」
私の景気よい勧めに、すぐさま冷蔵庫のドアを開ける。
シコッ!
ングングングッ
プファッ!
滝田くんが噴き出したゲップの缶を見やると、
・・Kじゃないか!
シコッ
おかわりの缶も開けたようだ。
・・Kじゃないか!
ングングッ
・・Kじゃないか!
「他のを飲めよ!」
『君んチでは、Kが旨いネ』