ビールの銘柄にこだわっている。
紆余曲折の末、
あるメーカーのあるビールだけを飲んでいる。
街の飲み屋で飲むビールに、さほどのコダワリはない。
コダワルと、何気なく入った飲み屋に、そのビールがない場合、
「帰る!」
ケツをまくる大人げない振る舞いをしなければならない。
ゆえに、それほどのコダワリはない。
しかし、我が家での
晩酌の始めの乾杯儀式には、コダワリたい。
「あああ~~~~~~~~~」
感嘆詞が生まれたのは、ビールのセイではないかと思えるほどの、
あああ~~~~を吐き出したい。
その為には、よほどの実力を持ったビールが、
泡を吹いて待ち構えてくれなければならない。
個人の理想形が、そこになければならない。
ゆえに、銘柄にこだわる。
冒頭に、紆余曲折と述べたのは、
実際、アッチのビールを飲み、ソッチのビールを浴び、
ありとあらゆる麦色を試したからにほかならない。
そのあげく、私の存在を諸手をあげて喜ぶ、手助けをしてくれるは、
このビールだと、決めたのである。
(おおげさだナ)
ちなみにこのビールを、《KのI》だとしよう。
(深く考えないように)
アルミに包まれ、冷蔵庫に多からず、少なからず眠っている。
毎日順番を待って、冷やかさを保っている。
出番を待つ姿勢が素晴らしい。
まっすぐ立っている。
(当たり前か)
中には、何日も出番をとばされた奴もいる筈なのに、
背筋は伸ばしたままだ。
いとおしい。
一度に、多くの出番の号令を出したい気持ちはあるが、
さもいかぬ、こちらの事情も察してほしい。
時折・・・Eというビールに手を出すことがあるが、
滅多にないことなので、許しておくれ。
その夜は、特別な夜なのだと理解してほしい。
だって、Eは高いんだけど、旨いんだもの・・・
楽しそうな影絵