「チワ~イシマル工務店で~す」
本日の、イシマル工務店の役割は、ない。
ない代わりに、代償に、<何か>を頂いてゆく、
本日の代償は・・
《キンカン》
春先に実が成る、喉にいいと言われている柑橘果実だ。
知人宅に、「こんにちは」の訪ねをすると、
『キンカンどうぞ』の応えが返る。
庭にタワワに成っている小粒のキンカン達。
数百個・・・いやそれ以上かもしれない数の黄色い宝石。
成っている期間が長い。
黄色く実ったのだけを採っていくのだが、
すぐに大きな袋いっぱいになる。
一週間後に訪ねても、袋いっぱいになる。
さらに一週間後・・・
いったいどれ程の実が成っているのだろう。
ちぎりながら、ほお張るのが楽しい。
酸味の中に、ちょこっとの苦みと、
山椒に似た舌のシビレも感じる。
10個もいでは、ひとつほお張る。
種は、そこらに噴き出す。
ペッペッ
これが楽しさを倍加させる。
キンカンの木の周りは、肥えた土だ。
そこに種をまき散らす。
ペッペッ
いい加減に噴き出す快感!
時折、ポ~ンと遠くまで飛ばす。
自分が、鳥になった気分が味わえる。
植物の子孫を繁栄させる担い手となっている。
さあ、大量に採ったゾ。
ところが、ここから大変な作業が待っている。
良く洗い、よく磨く。
そのあと、ナイフで、一粒一粒、横からカットし、
種を取りだすのである。
ハチミツ漬けにするにはこうするしかない。
この作業があまりにも大変な為、
袋いっぱいのキンカンは、友人宅のお届け物となる。
彼らに作って貰って、それを頂こうというズルい考えだ。
私は、採取する役。
友人は、加工する役。
一見平等に見えるのだが、
一番楽しいところだけを私が演じているので、
非難されてもしかたがない。
ここはひとつ・・・
<皆の健康の為>という文句の出ようがないテーマで、
乗り切ろうと考えている。