《撒き餌》 まきえ
魚を釣るには、撒き餌をまいたりする。
魚を集めるのに最適なエサを、ばら撒くのである。
撒き餌に集まった魚は、その近くにある、
釣のついたエサに、ハカラズモ喰らいつくことになる。
この考え方は応用できる。
昨日、台所に、ヨーカンを置いてみた。
幾つも置いてみた。
普段、置いてないような場所に置いた。
すると・・・
「なんでこんな所にヨウカンがあるの?」
不思議マークを頭に付けた我が友人
滝田くんが、
台所をウロウロしている。
滝田くんの大好物は、甘いものだ。
オハギだの、チョコレートだの、シュークリームだの、
女子が好むものはすべて大好きだ。
勿論、ヨーカンも例外ではない。
するとどうなる?
夕食後に、台所に何気なく立ち寄った滝田くん。
見つけたのだろう。
ヨウカンをつついている。
裏返したりしている。
気になってしょうがないらしい。
っとその時、台所の流しに片付けられた食器類に目がいく。
夕食を食べ終わった食器類を見つけてしまった。
コレは洗わなくてはならない。
使命感が湧きあがる。
ん・・・・
『なんでヨーカンがここに?』
左目でヨーカンを見ながら、手は動き、
洗い物をする。
『食べていいのかな?』
さあ、この一連の動き、アレですよネェ~
魚が、撒き餌に集まり、つつき、つつき、
しょうがないから、本命のエサに喰らいつく!
残念ながら、滝田くんの場合、本命のエサは無く、
誤解したまま、食器洗いをさせられたのである。
ガッカリかもしれないが、
いいじゃないか!
彼にとっては本命とも言える、
撒き餌ヨーカンをゲットしたのだから・・・