行きつけの魚屋はいくつかある。
その中で、それほど足を運ばないにも関わらず、
ベスト3にランクインしている魚屋さんがある。
神奈川県の三浦半島の某所にある。
地元の魚をとびきりの
新鮮さと扱い、で売っている。
魚とは、新鮮さもさることながら、
手に入れてからの扱いがその後の
魚生を決める。
魚生(うおせい)と言った。
そんな言葉はない。
人生になぞらえて言ってみた。
今、作った。
魚にだって、生をまっとうしてからの魚生を美しくありたい。
食べられる事もなく、ウチ捨てられる状況は受け入れられない。
望むらくは、見事なまでの飾りを施され、
皿の上で、絶賛の拍手を受けながら、人々の腹に収まりたい。
この意を受け、漁師が捕った魚は、
プロの魚屋の手に委ねられる。
プロは、考える。
いかに旨味を維持した状態で、人の目の前にお出しするか?
早ければいいと云うものでもない。
遅ければ、残念な状態になる。
ギリギリを狙っている。
魚生を見事に全うした場合、人々から発せられる言葉は、
タメ息である。
箸で運ばれた途端、タメ息がもれる。
これほどの絶賛はない。
魚生が、人生に転化された瞬間である。