《セセリ》
時折、スーパーの食品売り場で、セセリに出会う。
その途端、スイッチが入る。
迷うことなく、買い物カゴに放り込む。
セセリとは、鶏の声帯だ。
「コケコッコー!」
日本の朝を、いや、世界の朝を担っている鶏の雄叫びだ。
では、なぜ私が、このセセリをカゴに放り込むのか?
答えは二つある。
一つ目の答えは・・・
何をおいても、旨い!
冷凍品だろうが、解凍品だろうが、品落ち品だろうが、
溢れんばかりの旨味を保っている。
一見、ササミのような光沢を放ちながら、実は、
脂がみなぎっている。
さて、
このセセリを焼く前の生を、じんわりと観察してみよう。
声帯・・・
真ん中あたりにスリット(隙間)がある。
肉と肉が、広がったり、狭まったりする隙間がある。
どうやら、あの隙間を息が通り抜けて、
声が出ているらしい。
「あ~~~」
神経があの隙間を調整すると、
こわいろが変わる。
あとは、唇とホホの形を変えることで、
様々な声を出している。
その大元は、喉にある、セセリだ。
声帯は、筋肉である。
鍛えれば強くなる。
使わなければ、どんどん弱くなる。
喋らない人の声帯は弱くなり、か弱い声しか出なくなる。
私にも、セセリがある。
アナタにも、セセリがある。
だから、二つ目の答えを言おう。
セセリを喰えば、
正常な声が出るような気がしてネ・・
空飛ぶ鶏たち(屋根の上に飛んでいった)