アコヤ貝だ。
ビーナス誕生の絵画で、ビーナスが立っている場所が、
アコヤ貝の上である。
あの絵の中の貝もデカい。
私がのぞき込んでいるのは、沖縄の久米島の、
とある場所に置いてあった貝殻だ。
貝殻などという言い方で済まされない怪物である。
アサリやハマグリの数千倍の迫力を醸し出している。
この貝が発見されたのは、島のリーフの外側だそうだ。
人間が潜れる許容範囲のエリアだという。
では、架空の話をしよう。
私がそこに潜っていたとしよう。
何気なく、岩場に近づき、熱帯魚を観賞していたとしよう。
そんな場所に、アコヤ貝は、口を開いている。
パックリ!
この大きさともなると、開いた口の開口部はかなり広い。
そこに、私が誤って、足を突っ込んだとしよう。
すると、どうなる?
ガシャン!
閉じる。
アコヤ貝は、フラフラとやってきた魚だのを、
ガシャンと閉じて捕まえる。
その閉じる力は、半端ではない。
万力が締め付ける力を有している。
足は、締め付けられ、引っ張ったくらいでは抜けなくなる。
どうなる?
私は、エアタンクを背負い、その空気を吸っている。
残量を確かめると、あと
30分ほどしかない。
水深20m。
海面には、ダイビングの為のボートが浮かんでいる。
港から15分ほど走ってきた。
さて、どうする?
見回すと、ダイビング仲間が数人いる。
トラブルの信号を手ぶりで知らせる。
皆がやってくる。
幸い、
水中で字が書けるボードを持っていたとしよう。
アナタならどうやって、この事態を切り抜けますか?
生き延びますか?