私は、30数年来の将棋ファンである。
当然ながら、昨日のフィーバーも、
数時間テレビで観戦していた。
初手から最終局まで、眺めていた。
29連勝という偉業よりも、
いまだ負けていない100パーセントの勝率の方が、驚きである。
この驚きを例えるならば、
野球界で、突然現れた高校球児がプロ登録をし、初年度、
4割、60本のホームランを打ち、なおかつ、
投手として、30勝を挙げたようなもんである。
イチローと大谷が結合したという言い方をしてもいい。
さあ、その29連勝の瞬間だ。
「負けました」
頭を下げた増田4段の、潔い声のあと、
なだれ込んできた報道陣の滝のようなカメラフラッシュ。
光と共に、カメラのシャッター音が、延々鳴り響く。
カシャカシャカシャカシャカシャカシャ
あまりのすさまじさを、ここで書ききれないのだが、
30分以上このカシャカシャが続いた。
いったいどれくらいのフイルムが費やされたのか?
いったいどのくらいのメモリーが埋め尽くされたのか?
時代を超越した瞬間を絵に撮りたい。
カメラマンたちのプロ魂が、
一秒間に数百枚という写真によって、
人々の記憶のに残るべく一瞬を、切りとった。
そいつが今朝の、新聞に載っている。