「早く寝なさい!」
叱られるのが、子供の宿命だ。
常に、寝なさいと叱られる。
一年中、寝なさいと怒られてばかりいる。
そんな子供たちが、ある時、放たれる。
キャンプ!
「花火の後かたずけしたかぁ~?」
お父さんの声など、どこ吹く風、
真っ暗な、キャンプ場で、マナコはクリックリに輝いている。
眠る気配もない。
なんたって、いつものこごとが聞こえないのだ。
「寝なさい!」
今夜だけは自由だと、テントの横で、
ウイスキーをちびっているお父さんが、認めている。
「いいかげんにしなさい」
キャンプ場でもお肌の手入れに余念のないお母さんが、
お決まりのセリフを吐くのだが、
今夜だけは、聞く気がない。
「このまま一生、起きててやる~!」
目ん玉が、目玉焼きほどに膨らんだ子供たちが、
キャーキャー奇声をあげて、走り回る。
1LDKのテントの内部を駆け回る。
外部から見ていると、テントの影絵だ。
ライトに写された子供たちの影絵が、
大きくなったり、小さくなったり、
テント内を駆け回っている様子が映し出されている。
時折、テントに激突し、膨らむ。
ふいに、大きな人間の影が映る。
さすがに、お父さんが、「コレコレ」とあやしているらしい。
しかし、その姿に小さな影が激突し、
奇声がさらにあがる。
「寝なくていい」
こんな素敵な言葉を、子供の頃に聞く。
それは、まるで、ディズニーの世界・・
では、我々大人に同じ言葉をかけるとしたら、何だろう?
たぶん・・・
「働かなくていい」
さあ、テントを持って、旅にでよう!