庭を掘り返している
ショベルカーを、私の両親が
縁側に座って眺めていたそうだ。
ショベルカーを運転しているのは、巨漢。
といっても、縦にではなく、
横に巨漢。
プシューッ!!!
突然、銀色の柱が立った、
穴の中から。
8メートルくらいあがった。
横巨漢は以外にすばやかった。
ショベルカーを飛び降りるや、穴に飛びこみ、
ドスンとしゃがみこんだ。
なんと、
ガス菅を、間違って
破ったらしい。
その破れたところを、横巨漢の
でかいケツが塞いでいる。
その、でかケツが叫ぶ!
『119番呼んで下さい!』
やっと事態を飲みこめた両親が、ダイヤル回すと
スワっ!市を巻き込んでの大騒ぎになった。
レスキュー隊が掛けつけた。
赤い車がいっぱい来た。
『みなさん避難してください!』
スピーカーが町内を廻り、逃げろと言ってる。
<リーサルウエポン2>という映画知ってる?
トイレに仕掛けられた爆弾の上に座ってしまった話だ。
まさに、アノ状態になった。
『タバコを吸わない様に!』
『静電気を起こすな!』
間抜けなくせに、勇気ある
横巨漢が涙顔になっている。
でかいケツが素晴らしく役に立った。
しかして、レスキュー隊の奮闘あって、
横巨漢は、無事救出される事となった。めでたし、めでたし、
・・で話は終る筈だった。
両親は見ていた。
阻喪をした
ショベルカーがトラックに積みこまれ、
その後を、横巨漢が別の車で
ついていったそうな。
上り坂の信号で
止まったそうな。
キュルキュルキュル
キャタピラーの廻る音
ショベルカーが、横巨漢に向かってズリ
下がっている!
車止めを、し忘れたのだ。
え?うそ・・
バックバック!クラクションが鳴り叫ぶ!
さがれ!さがれぇ!
後続車が必死で後退する。
ダガ~ン!ついにトラックから落ちた。
バックバック!!
落ちても、キャタピラーは動き続ける。
キュルキュルキュル
ターミネーターだ。
バックバックバックバックバックバックバックバック!!!
その後、横巨漢がどうなったか、
残念ながら知らない。
彼にとって
<一生で、一番長い日>だったに違いない・・