《ウズラ》?
ウズラの肉が売られていた。
長野県の物産市場をぶらついていた時だった。
ここは以前、ウサギの肉にかぶりつかせてくれた店である。
ウズラの卵はしばしば目にするが、本体である。
親だ。
そういえば昔、焼き鳥屋で、注文した覚えがある。
が、味は忘れた。
(どうしようかな?)
頭は、迷っているのに、
手が先に動いて、買い物かごに入れてしまっている。
味付けをして、焼いてみた。
ガブリッ
おおぉ~スズメを大きくしたような肉塊の弾力が、
噛みごたえを豊かにしている。
スズメより旨味がある。
スズメに付いている
頭の部分がないのが、嬉しい。
アレは、旨いが抵抗がある。
「ちょっと待てっ、オマエはスズメを食ったのか!」
指差さされてもしかたない。
その昔、近所のオジサンが、鉄砲担いで、野原へ行き、
散弾銃でバ~ンとやると、
100匹近いスズメがドタンと落ちる。
持ち帰り、我が家の庭で、熱湯の中に放り込み、毛をはがす。
裸になった大量のスズメ。
もちろん、頭が付いている。
串にさし、タレをつけながら、炭火であぶる。
こんがりと焼け、香ばしい匂い。
腹がグゥとなる。
「ほら、ケンボウ喰いな」
差し出された串に刺さったスズメ。
じっと眺めると、小指大の嘴付きの頭部が・・・
ガブリッ
まだ柔らかいモノが口中にあふれる。
「いいのか?」
子供心に、なにかがさわる。
「スズメだぞ」
日本昔話のわき役だゾ。
童謡の主人公だゾ。
芭蕉も、「そこのけそこのけ」と想いやっていたゾ。
丸ごと5匹ほど食ったところで、席を立った。
そして現在、ウズラの焼きモノの前で、ビールを持ち、
その昔を思い出している。
私は、成長したのだろうか?
それとも、くだらない人間になったのだろうか?