多少は、音が小さくなるんじゃないか?
旅先で、合宿状態で宿に泊まることがある。
ウインド仲間と一緒だ。
5人もいると、ひとりふたりイビキのウルサイ奴がいる。
他の部屋があればいいが、
そうもいかない場合、押し入れに閉じ込められる時がある。
大人だというのに、押し入れに布団ごと詰め込まれ、
閉じた襖に座布団などで、フタをされたりする。
防音を徹底しようというワザだ。
閉じ込められた方は、真っ暗で安眠できるのだが、
やはり大人としての扱いとは思えない。
これじゃぁあんまり可哀想だってんで、
ちゅうと半端に押し入れに入れられた。
すると・・
夜中に、轟音が響いている。
襖がブルブル震えている。
イビキが倍音と化している。
ステレオのスピーカーの仕組みをご存知だろうか?
木の箱の中にスピーカーの震える紙が貼りつけられてある。
あの木の箱は、音をふくらませる為の倍加装置だ。
押し入れが、まさに木の箱の代わりをしている。
ちょっとウルサイ筈だったイビキが、
猛獣なみに拡大され、重低音を部屋中にまきちらしている。
んで朝、ご本人がケロッとした顔で、歯磨きをしていると、
ねぼけまなこの友人たちが、具合悪そうな足取りで、
朝食会場に向かってゆく。
「どったの?呑みすぎ?」
『失敗したんだヨ』
「ん?」
『センサラウンドって知ってる?』
「?」
『ウーファーて知ってる?』
「・・?」
『も、いいや』