《バレンタインデー》
義理チョコだの、○○チョコだの、
とにかくチョコの話で、まみれている。
問題は、その頂いたチョコを食べるかどうかだ。
《チョコレート》
この単語は、信じられないほどの、魅力に満ちている。
口に取り込むあまたの食べ物の中で、
べストテンを開催したとしたら、
おそらく、ベスト3に入るだろう。
いや、1位と言ってはばからない人の声が聞けるだろう。
人間が美味しいと感じる食物の中でも、
あまりにも美味しすぎる甘い芸術品だ。
結婚式のパーティ会場などで、
チョコレートタワーなるものが催されたりする、
温めてドロドロしたチョコレートを滝のように流して、
イチゴなどの食材をクシに刺し、
チョコレートに浸して食べる。
そうだ、コレを山で造ったらどうだろう?
それも、雪山で!
いわゆる、
チョコレートフォンジュ!
早速でかけた。
北八が岳の縞枯山(しまがれやま)に、
スノーシューを履いて向かう。
気温マイナス5℃。
頂上直下、蒼空のもと、雪の中にコンロをすえ、
コッヘル(山用鍋)を乗っける。
牛乳をドボドボと注ぎ、火をつける。
その中に、固形のチョコレートの銀紙をバリバリと破り、
パキパキを割り入れる。
チョコは、思いのほか簡単に溶けてゆく。
そりゃそうだ、口に入れてすぐに溶けるように作られている。
マイナス5℃とはいえ、バーナーの火は強い。
あっという間に、茶色のホットチョコの鍋ができあがった。
ゴクンッ
慌てて、食パンを3センチ四角にちぎり、フォークに刺して、
チョコの海につっこむ。
ドロリ~
クルリと一回転させただけで、チョコまみれのパンが目の前に。
ガブリッ
おおおおお~~~~なんという甘き陶酔感。
なんという香り・・
寒さの中で、このショッキングな旨味は、
ダイエットなどという、人間しか使っていない言葉を、
吹き飛ばしてしまう。
次に、干し柿をフォークに刺した。
甘いモノと甘いモノの共演である。
さて、いかがだろうか?
ドロリッ
ガブリッ
ん・・・?
コレは・・
フレンチのデザートではないか。
甘さと甘さが喧嘩していない。
むしろ、良さが倍加して、非常に上品なデザートとなった。
1+1=3になった典型例かもしれない。