マスクが良くなった。
マスクの形、性能が良くなった。
顔へのヒット感がやさしく、
長い間付けていても、気にならなくなった。
気にならない状態を超えて、
していることも忘れるほどになった。
昨日、マスクをして、電車の座席に座っていた。
喉が渇く。のど飴をカバンから取り出し、
ポイと口に放り込んだ。
・・こんだ、つもりだった。
口の前にマスクがあった。
ポーンとはじけて、飴が通路にころがった。
ハッと目をあげると、正面の座席の女性(25,6歳)の
ほほが、
ピクっと引きつるところだった。
見られてしまった。
一部始終を、
見られてしまった。
マスクに向って、飴を投げたところを見られてしまった。
うう~
もう一度、25,6歳を見上げると、目が真っ赤になっている。
彼女、やおらそおっと、カバンに手を突っ込み、
なにやら取り出そうとして、思い直し、
止めた様子だ。
(
携帯だ!携帯を取り出して、誰かにこのブザマな男の話を
メールしようとしたに違いない。そして、このバカ男が、
自分を見ているので、しばし、
止めたのだ。)
うう~
25,6歳の目玉が宙を泳ぎだした。
白目が出てきたりする。
口を空けて息をしている。
(口を空けるのは、
プッと噴出さない為のテクニックだ)
早くもよりの駅に着かないか、前方を見ている。
実につらそうだ。
いや、つらいのは、
わたしの方だった。
教訓
<マスクには、
アメ用の穴を開けておきましょう>