イシマルの<偶然は>頻繁におこる。
八丈島と小笠原の間の、広い太平洋にポツンと島がある。
<
ソウブ岩>
高さ140メートル、まるで、鉛筆の様に、
海面から立っている。
オベリスクと言ってもいい。
そのソウブ岩に我が冒険の師匠
藤原が、
クライミングしようという。
しかも、行きも帰りも、ヨットで行こうという。
『よっしゃあ~!』
イシマル、大乗り気になった。
ものの、結局、
我がスケジュール過多の為、参加出来なかった。
悔しかった。とても行きたかった・・
~~~ ~~~
先日、テレビの釣り番組を収録中の休み時間に、
ふと、そのソウブ岩の話になった。
『藤原隊長のほか、
二人が登頂したんだよ!
隊長は、言いだしっぺだからわかるけど、その
二人も、
すごいだろお~
誰だか知らないんだけど』
「
ああ、それオレ」
マイクをかついだ音声さんが、自分を指差している。
へえ、君だったの、
井納(いのう)君
じゃあ、あの登攀記事は、
君が書いたわけね。
登攀写真も、
君が撮ったわけね。
そう云う事は、早く言ってね。
イシマル君はね、もう、こういう
偶然にいちいち
驚かない事にしたんだかんね。
絶対、驚かない事にしたんだかんね!
びっくりして、嬉しくて、君と握手なんかしないかんね!