たくましい妹がいる。三つ年下だ。(昨日参照)
ヨットを長年やっている。
そのヨットに乗せてもらったことがあった。
神奈川県の三浦半島から、伊豆大島まで行くことになった。
その日、
風が強かった。
ヨットの性質上、横風や、前から来る風には、
安定するが、後ろからの
追い風に弱い。
ピッチング、ローリングの繰り返し。
けんじろう君、すぐに
酔った。
出すもの全部出した。
車酔いと違って、
船酔いはきつい。
出すもの出しても、許してくれない。
死にたくなってくる。
その時である。
『
見て見て!!』
妹が明るく叫んでいる。
ヨット暦が長い人でも酔う時は酔う。
見た。
ピューーーーーーーーーーー
やや、上を向いた妹の口から、放物線を描いて、
黄色いものが、荒海に向って飛んでいく。
4.5メートルは飛んだ。
『
見たあ~?!!』
・・・うん、見たよ。
吐くって、普通苦しくないか?
吐く距離を競って何になるんだ?
吐く元気があるんなら、もう帰らないか。
おれを、陸にあげてくれえぇぇぇ・・
『
見て見て!!』
(
いやだっ!でぇーったい見ない!)