ウインドサーフィん仲間に<長>さんという人がいる。
長と書いて、<
おさ>と読む。
イシマルのウインドサーフィンの先生でもある。
その長さんに、女の子が誕生した事があった。
名前をつけるのに、通常の親らしく悩んだ。
ところで、ウインドサーファーにとって、聖地とは、
ハワイ諸島のマウイである。
そのマウイに
カナハという、よく風の吹くビーチがある。
そのカナハに長さん、行ってきたばかりだった。
つまり、名前は、もう決まったも同然だ。
カナハでは、そのまま過ぎるってんで、<
カナ>に決めた。
漢字は、(忘れたが)素敵だった。
決めた・・と本人の口から、聞いたイシマル、
そこで、考え込んでしまった。
長さん本人は、ある重大な問題に気付いているのだろうか?
イシマル、その問題点を、言うべきか、言わざるべきか悩んだ。
悩んだあげく、その子の将来の為に、言う決心をした。
『あのね、長さん、名前を
フルネームで声に出して読んでごらん』
<
おさかな>
やはり、本人は気付いていなかった。ショックを受けている。
誰しも、自分の子供の名前をフルネームで呼ばないものだ。
「あら、可愛い名前じゃない。」と思った方。
ええ、確かに、可愛いですよ。
大人になって、社会人になったら、メリットがあるでしょう。
この名前のインパクトは、使える!
芸名で付けたいくらいだ。
ニックネームは<トトちゃん>
しかしですよ。この子は、
憎たらしいガキどもが回りにいる
幼少期を、まず過ごさなければならない。
傷つきやすい思春期が待っているのだ。
大人にとっては可愛いと感じるこの名前を
悪ガキどもが、許してくれるでしょうか?
おささん、「よし!」と膝を打ち、
かなを諦めたのであった。
かわりに、とても素敵な名前をつけてもらい、彼女は
スクスクと育っている。
しかし、今になって、あの助言は本当に良かったのだろうかと
考えることがある。
<おさかな>
なんていう普通では決して手に入らない名前を付けられる
チャンスを、
イシマルが奪ったのではないか。
千歳一隅のチャンスを逃したのではないか・・
というのも、イシマルの知り合いにこんな名前の女性がいるのだ。
そして、立派な大人になっているのだ。
<原 真紀>さん
はい、声に出して読みましょう!