餃子の町と云えば、
宇都宮という事になっている。
一年に一回は、東京から車を走らせて、
わざわざ食べに行く。
随分たくさんの餃子屋が出来た。
15年ほど前に行った時には、これほどではなかったのだが・・
噂がうわさを呼んだ、
観光の成功例といえる。
まあ、餃子なんて、どこで食っても大した差はなかろう。
一回行くと、3軒は回る。
一人前(6個)だけ食べて、はい、お勘定。
次の店でも、同じ。
3軒目で、食べられるだけ食べる。
とはいえ、一番美味しいのは、最初の店である。
そりゃそうだろう、空腹に食べたんだから・・
舌がきれいなうちに食べたんだから・・
今、
観光の成功例と書いたが、
実は、ちょいとだけ心配をしているのだ。
観光客が大勢来るという事は、宇都宮市にとって
非常に喜ばしい出来事に違いない。
だが! だがである。
大勢いらした観光客の食事は、
餃子だけなのである。
餃子以外は食べないのだ。
以外は、食べたくても、餃子が入るべき腹のスペースを
狭めたくないので、我慢するのだ。
よって、年間何百万人の観光客が来ようとも、
他のレストランなどの、
飲食関係は潤わないのだ。
ホテルの客も、夜餃子を食べ、朝飯を抜いて、
昼の餃子にかけるのだ。
宇都宮の方たちも、これは
誤算だったに違いない。
人が来れば、飲食店が儲かるという観光地の常識が、
ガラガラと崩れたのである。
『客来ねえじゃねえか!』
ドンッ!
カウンターを叩いた、カレー屋のオヤジの嘆きが聞こえそう。