「あっ、ポケットティッシュを買おう」
小さな洋品店に入る。値段を見る。
96円
財布を見る。一万円札しかない。
(一万円札で96円かあ~悪いな)
ってんで、つい、隣にあった虫除けスプレーを友買いする。
しめて、380円。
え~ばっかじゃないの~
友買いの方が高いじゃん!
そうなんです。
お馬鹿な買い物をしているのだ。
<友買い>という言葉があるかどうかは、別として
<
お釣り申し訳ないな症候群>
があるのだ。
一万円札出して、こんなモンしか買わなくて
お釣り貰っていいのかしら?・・
症候群と云ってもいい。
この症候は午前中に、特に起きる。
店が開いたばかりの時に、特に起きる。
お店が、お釣りをたいして用意している筈がない時間帯に、
特に起きる。
今、暖簾を出したばかりの、蕎麦屋に入ったとしましょ。
もりそば400円を食べ、一万円札を出す勇気はない。
蕎麦屋が銀行で
両替して来たばかりのお釣りを、
簡単に引っさらって行く勇気はない。
『それは仁義に・・もとるんじゃ・・ないすか』
・・高倉健さんも言ってる様な気がする。
そんなん商売なんだから、割り切っていきまひょ!
という意見もあるのだが、
割り切れない。
割り切れない派のイシマル、今日、タクシーに乗った。
ワンメーターの距離だった。
ふと、財布を見ると、一万円札しか無かった。
『お客さん、着きました。この辺でよろしいですか?』
「え~と、ごめんなさい。もうちょっと走って下さい。」
結局、目的地を著しくオーバーランし、
本来タクシーを使った筈の2倍の距離を、歩いてしまった。
『それで・・いいんじゃ・・ないすか』
高倉健さんが言ってる様な気がする。