<種> が憎い。
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柿の種>が憎い。食べる時、あのガツンとくる堅さに
歯がたじたじする。入れ歯が外れる人もいる。
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ブドウの種>が憎い。
皮を剥くのでさえ、えらい指先能力を使うのに、
おい!ブドウ!
口の中に入れてから、ややこしい舌の動作を強いるなよ!
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桃の種>が憎い。
桃は値段が高い。高いにも拘わらず、種がでかい。
まるで、値段が高い魚にも拘わらず、頭のバカでかい魚に
似ている。
タイ君・・君の事だよ。
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マンゴーの種>が憎い。
マンゴーを剥くのは難しい。剥くとベリベリと音がする。
剥いた挙句、食べようとしても、ほとんどが、種である。
しかも、種に実が、繊維を巻き付けて、しがみついている。
無理やりかぶりつくと、手も口もベチョベチョになる。
<
ミカンの種>が憎い。
昨今ではミカンには種が無い事になっているでしょ。
そう思ってミカンをガブリとやった時、クチクチと当たる
時がある。 ちいさな小さな種。思わずペッペ、ペッペ・・
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梨の種>が憎い。
梨を丸ごと食べる。ガシガシ食らいつく。
水分がボトボト落ちる。最後の最後に最も酸っぱい部分が
現れる。種の周りだ。あのあたりの酸味が美味い。
ガブリと食らいつく。ところが、よりによって、最も美味い
場所に、クツクツとした種が邪魔をする。
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さくらんぼの種>が憎い。
こんなに愛おしい果物はない。見た目も美しい。
一口パクリとやる楽しみ。よくそ果物の神様は御作り遊ばした。
なのに、なんで種を入れたのよ!
一粒づつプップッとやる自分がイヤなのよ。
オシャレじゃないのよ。
プップッ
<
びわの種>が憎い。
びわ程、簡単に皮が剥ける奴はいない。
三スジも剥けばパクっと食える。時代劇風に云えば
『ウイ奴じゃ、近こう寄れ』
ただし、種がでかい。
比較的には、果物界の最大タネと言ってもいい。
『ウイ奴、おぬしのふところには何が入っておるのじゃ』
<
栗の種>が憎い。
栗は種そのものじゃないの?という指摘はあるでしょう。
だからこそ、栗が憎い。種だけで勝負している所がずるい。
果物界が果汁の甘み問題で四苦八苦しているのに
その辺をほっぽり出して、結構な甘みを出しているのがずるい。
<
ライチの種>が憎い。
クルリと剥けるくせして、種の周りに付いている薄皮が
マズイ!
舌を刺すほどマズイ。
あれを食わずに実を食べる方法はないのか?
<スイカの種>が・・
嬉しい。
必需品とは、スイカの種のことだ。以前、種無しスイカが
販売されたが、売れなかった。当然だろう。スイカから種を
奪ったら、楽しみが無くなる。食べる楽しみだけでなく、
眺める楽しみが無くなる。絵を描く喜びが半減する。
スイカには、ことのほか、贔屓する。
贔屓の引き倒しをしてもいい。
(長島茂男さんの表現を借りれば)
『スイカは永遠に果物界の王様です!』