豆腐屋さんは、
何が面白いのだろう?
『♪あっさ一番早いのは~パン屋ぁのオジサン~♪』
という歌がある。
パン屋さんも早いだろうけど、豆腐屋さんも負けていないぞ。
夜が明ける頃には、豆腐の絞り粕のオカラが、すでに
店先に置いてあったりするぞ。
え~話は戻って・・
豆腐屋さんは何が面白いんだろう?
たぶん、豆腐屋さんは、毎日、大豆を見て暮らしているのだろう。
ほんで、大豆をどうとかして、あげく、最後に真っ白な豆腐を
見て暮らしているのだろう。
私が何を疑問に思っているのか・・
そこで、解り易くする為に、極端な例をあげよう。
<ケーキ屋さん>は、面白いよね。
毎日、いろんな種類のケーキを作り、時には、創作ケーキも作る。
<魚屋さん>は、面白いよね。
日々、違った種類の魚が入って来る。
<八百屋さん>だって面白いよね。
季節があふれている。
そこで、豆腐屋さんだ。
毎日、出来たモノは、真っ白なポヨポヨした物体だ。
来る日も来る日も、真っ白なモノを作っているだけなのだ。
副産物の豆乳だの、焼き豆腐だのアブラゲだのは
いっときのレジャーだろう。
とにかく、毎朝、大豆をどうとかするのだ。
大豆をなんとかするのだ。
すると、真っ白いものが、出来てくるのだ。
それを、いとおしそうに、水に浮かべ、
やにわに取り出した包丁みたいなモノでで、
一丁毎に切っていくのだ。
スパー・・スパー・・
そうなのだ!スパーがやりたいのだ、豆腐屋さんは・・たぶん。
やってみたい!あの
スパー・・を
ケーキを切るのとも違う。
プリンを切るのとも違う。
切った瞬間の感触すら解らない程の
スパー・・
きっとそうだ!
豆腐屋さんは、あの
スパー・・がやりたいんだ。
見事なまでの切れ味で分断されていく純白のポヨポヨ。
スパー・・
その時、豆腐屋のおじさんは、
微笑みを浮かべているに違いない。
阿弥陀如来かモナリザか・・・