<
カジノのディーラーⅡ>
昨日の続きだ。
<ルーレットのディーラーは、
狙った所に玉を落とせるか?>
これは、カジノ好きな人が、常々疑問に思っているテーマだ。
疑問というより、疑惑と言った方がいいか。
映画では、こっそりどこかのボタンを押すと、
ある数字に入ったりするが、アレは嘘と思った方がいい。
玉を投げ入れた後から細工するのは、難しいからだ。
では、可能か不可能か、次の話で判断して頂こう。
イシマル、ディーラーになって一ヶ月が過ぎた。
アルバイトである事は間違いない。
時給は入った時のまま300円だ。
魔法の指先を持っている筈なのに、300円だ。
ならば、自由に玉をコントロール出来ないかと考えた。
条件は二つある。
回転台の速さと、投げ入れた玉の速さだ。
(玉は回転方向と逆向きに投げ入れる)
まずは、
回転台の速さを一定にする練習を始めた。
2秒間で一周させるのだ。
そのスピードを感覚に記憶させる。
さて、次に、玉は外側の溝に、中指一本で押し付け
グイっとひねって投げる。
飛び出した玉は、高速で外周を回り出す。
問題は、この
回転数だ。
この
回転数が一定になれば、
同じところで落下を始める筈だ。
特訓が始まった。
当時、ブルースリーが全盛の頃だった。
玉をひねる度に、「アチャア~」と声を出した。
アゴも振った。「ホロロロホオ~」の高音も出した。
店長には叱られた。
でも止めなかった。
ある日、玉が21回転と3分の1で落ちる様になった。
コロン・・
0に落ちた。続ける。14に落ちた、二つずれた。
9に落ちた、二つずれた。
00に落ちた、反対側だった。
落ちる途中に細長い金属があり、それが悪さをしている。
「アチャア~!」 特訓は続いた。
相変わらず店長は怒った。
3ヶ月間のアチャア~により、ある事が出来る様になった。
回転盤を4つに割り、その4分の1の範囲内に落とせる。
つまりピンポイントの数字はダメだが、エリアを絞る事は出来る。
言い換えれば、
入れたくない数字には、ほとんど入らない。
冒頭の
疑惑の説明に少しはなっただろうか。
たかが、アルバイトの特訓で、この程度出来たのである。
本場ラスベガスでは、さていかに!
嬉しい事に、この特訓のおかげで、時給が50円上がった。
(3ヶ月もいれば、ほっといても上がるぞという意見もあるが・・)