世の中には上には上がいるもんで。
私、ハイエースを改造して、あちゃらこちゃら旅をしている。
つまり、車内で泊まれる様になっている。
名付けて、ペンションくるま、略称
<
ペンクル>
先日、八甲田山でとんでもない
ペンクル野郎に出くわした。
八甲田山と云えば、あの映画<八甲田山死の彷徨>で
有名な青森県の恐怖の山だ。
冬には、零下数十度にまで下がり、
吹雪になると、目の前に伸ばした自分の手が見えなくなる
と言われている。
そして、その日は、まさにその日だった。
我々、テレビのスタッフは、八甲田山の中腹のスキー場に、
吹雪の為、缶詰にされたのである。
鳴り止まぬ20mを超える強風に怯えながら、
ふと、ストーブの傍に佇む一人の男が気になった。
ただの、スキー客には見えなかったのだ。
「スキー?」
『
スノボー』
「どっから来たの?」
『
そこ』
????
「そこって?」
『
くるま』
???
彼の案内で、
そこの『
くるま』を見せて貰う事にした。
何と!
軽自動車!
この中で、寝泊りしているという。
毎年、極寒期の2ヶ月、この駐車場で寝泊りしているという。
八甲田山をスノーボードで滑るのが好きなんだという。
車内を見せて貰ったが、やはり狭い!
イシマルのハイエースの5分の一位だ。
この中で、煮炊きをしている。
読書をしている。
「寒くないの?」
『寒い。普通の人がここで眠ったら確実に凍死するな』
彼は薄着だし、寝袋も薄い。
「こんな吹雪の日はどうするの?」
『じっと寒さを我慢してるのが・・いいんだな』
<なぜ、こんな事を?>という疑問は湧かなかった。
私も、普段同じ様な事をしているのだから・・
しかし、彼には、頭が下がった。
私が知る中で、彼こそ、
ペンクルの王者である。
頑張れ!
フリーカメラマンの西田くん!