病院に行っただけで、熱が下がる。
風邪をひいて、38度以上の熱が出る。
もう駄目だ、病院へ行こう。
病院の玄関に入り、受付を済ますと、体温計を
渡される。
ピーピー。
「見せて下さい。はい、36,5平熱ですね~」
うっそー!それは何かの間違いです。
もっかい!もっかい計って下さい!
腹痛で行くと、もっと顕著だ。
医者の前に座った途端、
さっきまでの汗ばむ様な痛みが、消えている。
病院とは、不思議な所だ。
ひょっとすると、
自己脳内麻酔でも出ているのだろうか?
昨日もそうだった。
前日から、左目が痛くなった。
何かが目の中にあり、痛い。
トゲが刺さっているのではないか?
翌日、症状に変化が無いため、病院に出かけた。
涙ぐみ見えない目で名前を書き、受付を済ませた。
順番待ちでのベンチに座っていた。
しばらくして、壁に貼ってある眼科の文字が気になった。
読んでいた。
ん?
読んでいるってなんだよ?見えるんじゃん!
目をキョロキョロ動かす。
違和感が無い。
痛くない。
どっ、どうしたらいいんだ?
待てよ、これは例の
自己脳内麻酔が効いているのではないか?
あと5分もすれば、又痛くなるのではないか?
5分待った。
痛くない。
あのね、トゲさんよ。どうせ抜けるなら、家を出る前に
抜けなさいよ。せめて、受付の前に抜けなさいよ。
もし、それが無理だったのなら、むしろ
抜けないでくんない!
お医者さんに見て貰おうよ。
私の患者としての立場はどうなるの?
『イシマルさん~』と呼ばれた後、どう振舞えばいいの?
目が痛いマネをしろとでもいうのか?
あのね、トゲさん。これが風邪だったら、こうなるんだよ。
医者『はい、どうしました?』
イシマル「ついさっきまで、風邪だったんです」
医者『・・・はあ、で、今は?』
イシマル「すっかり良くなりまして」
医者『・・・で、何しに来たん?』
イシマル「それが問題なんです」
で、結局、キャンセルして帰ってきたのだ。
一回も使っていない、マッサラな
診察カードだけ頂いて。
トゲさんよ、あんたが取れた一瞬、こう思ったんだぞ。
(このまま、裏から逃げ出そう)