<ヌーベル キュイジーヌ>
フランス料理の新しい風、とでも訳そうか・・
もうこの風が吹いて、何十年になるが、
日本人が作り出した、フランス料理革命であった。
元来のフランス料理は一つの素材に
100のソースを使う芸術と謂われ、
日本料理は、100の素材に
一つのソース(醤油)で食べると謂われるそうだ。
さてさて、フランス料理をたまに食する機会がある。
ナイフフォークの問題はさておき、
料理の出てくる順番問題で頭を悩ませている。
最初に前菜が出てくるが、アレはいい。
導入部という事で、気にしなくていい。
問題は、すぐにやってくる。
ワインをちびちびやっていると、トンと出される。
スープだ。
パンも付いてくる。
これは、日本食的に当てはめると、
味噌汁とご飯がやってきたワケだね。
日本酒をちびちびやっている所に、
さあどうぞ、味噌汁とご飯を食べろという。
おまけにオカズは何もない。
日本で育った者として、
少なくとも、ごはんと味噌汁の時は、焼き魚やてんぷらといった
オカズが必要なのですなあ。
なのに、スープとパンのみだ。
前菜を残しておけばよかったかと反省するが、
前菜は片付けられている。
いや、片付けないと、スープは出して貰えないのだ。
さらには、このスープを片付けないと、
次の品(メインディッシュ)は出して貰えないのだ。
メインの
ステーキを食べながら、スープを飲むという
至福の時間帯は決してつくれない。
残しておいた、前半の小魚にフォークを伸ばすという
幸せも有りえない。
あっち食べたり、そっちツツイタリという
大好きな、<さまよえる箸心>を発揮できない。
きっちり定められた順番を、しっかり守った者だけが、
ムッシュなどと呼ばれて、
レストラン側に鎮重されているようだ。
あの、順番と皿片付けの儀式は
食べる側ではなく、
料理を作る側の論理としか思えない。
ここで、声を大にしたい。
数世紀続いてきたフランス料理の伝統を、たかが数年で
革命してしまった日本人だ。
ついでに、食べ方も革命しませんか!
<ヌーベルヌーベルキュイジーヌ>
【客が望まなければ、皿は片付けない】