20年前の今日、<世界の車窓から>が始まった。
つまり、本日で、まる20年、
「世界の車窓から~」と喋ってきたワケだ。
回数も7200回を越える。
その第一回目は、イギリス編だった。
狩野(
かのう)さんというディレクターが作品を作った。
その狩野さん、
イシマルの少しだけお兄さんで、
ダンディな方だ。
姿、立ち振舞いが
エレガントと言っていい。
そして、なんと言っても、声が良い。
ゆったりとした
バリトンで、暖かい声を出す。
女性が身の上相談かなんかで、会ったら、
いっぺんで、まいっちゃうだろね。
20年前に、ブース(録音室)に、ひとりでマイクに向って
座っていると、スピーカーから、
狩野さんの、バリトンが響いてくる。
『では、本番いってみましょうか・・』
「は、はい、お、お願いしま~す」
返事をしたイシマルの声がキンキンと落ち着きが無い。
その時思った。
(あなたが、ナレーションやればいいんじゃないの?)
しかして時は流れ、20年・・
その間、大勢のディレクター達によって、番組が作られてきた。
そして奇しくも、本日放送の南米ロケの作品を手がけたのが
狩野さんである。
20年経ち、その姿は渋みを増し、
髪はロマンスグレーになびき、
ダンディーさに拍車がかかっている。
同じ20年経っているのに、イシマルの
落ち着きのなさとは
正反対である。
今日も、ブースに、
いっそう深みを増した、
い~い声がサウンドする。
『では、本番いってみましょうか・・』
(やっぱ、ああたが、ナレーションやってよお~)