イシマルの海外旅行の一例
「明日から、一週間何も入ってませんね」
マネージャーがのたまう。
のたまった時間は夕方である。
(ふ~ん、そうなの)
その夜、いつも食べに行く台湾料理屋の華華(ふわぁふわぁ)
で紹興酒を傾けている。
(
そうだ、台湾に行こう!)
まるで、JR東海の
「そうだ、京都に行こう!」をパクッたフレーズが浮かぶ。
ついでにナレーションまでパクって
無理して、いい声を出したりする。
「そうだ、台湾に行こう!」
『おかあさん、明日から台湾に行けるかなあ?』
華華のおかあさんに、それとなく告げる。
や否や、
おかあさんが電話を取上げ、
早口で台湾語を喋くる。
その間数分。
「はいオッケーよ~」
あっという間に、台湾の宿が手配されたらしい。
イシマル 「飛行機は?」
おかあ『どする?』
イシマル 「いえいえ、自分で」
慌てて、旅行代理店に電話する。
役者という職業、休みが不定期、しかも
先の予定が立たない。
よもや、一ヶ月先に海外旅行などというイベントは組めない。
必然、
明日デパートに行く
明日サッカーを観に行く
的な感覚で、海外旅行に行くハメになる。
しかして、翌日の同じ夕方には、本場の台湾で、
紹興酒を傾けているのである。