<フロッグとトード>
昨年のミュージカル公演である。
イシマル、初のミュージカルである。
その再演をやる事になった。
そして、稽古が早くも始まったのである。
まずは、歌の稽古だ。
このミュージカルの歌が、とんでもなく難しい。
長年ミュージカルに携わってきた俳優陣でさえ、
音をとるのが、
非常に難しいと嘆く。
しかし、音楽とは、完璧に歌って、なんぼの世界である。
我らのシックハックが続く。
この稽古中に面白い現象が起こる。
一旦稽古場を離れると、車の中でも、食事中でも、
常に、歌を歌っている事に気付く。
勿論、声には出さない。
眠ろうとしている時でさえ、口ずさんでいる。
ところが、その歌が、なんと!
自分の歌ではないのだ。
他の出演者が唄う歌なのである。
その歌がひっきりなしに、頭に浮かび、唄っている。
他人の曲を練習しているのだ。
イメトレしているのだ。
はっきり言って、
全くもって無駄である。
同じ時間、自分の歌を唄えば、
どんなに、練習になるかわからない。
なのに、はっと気付くと
人の歌を唄っている。
こんなに忙しい時に、無駄な事に全力を捧げているのだ。
アホである。
この現象は、私に限ったモノではないらしい。
一緒に稽古している川平慈英(かびらじぇい)に尋ねると、
やはり、人の歌を唄っているらしい。
恐らく、人の歌は、楽譜も知らず、
耳から客観的に入ってくるからだろうと思われる。
思われるが、本人としては、たまったもんではない。
自分で自分の邪魔をしているのだ。
昨年の経験から言えば、この状態は2週間ほど続く。
ふむ、
人の歌は、メロディも歌詞もすぐに覚えてしまう事が解った。
であるならば・・・
最初に、役名をウソをついて教えとけば、いいのにね。
で、歌を覚えたところで、ホントの役名を教えるってのは
ダメかなあ~