先日、名古屋のテレビ番組に出演した。
その夜9時過ぎに、開放された私は、名古屋の美味しいものを
求めて、街に出た。
名古屋と云えば、味噌カツ、手羽先、煮込みうどん、きしめん、
うなぎまぶしなどなど、数え上げたらきりがない。
迷いに迷っているうちに、ふと気になる看板があった。
<
モンゴル料理>
モンゴル料理というからには、羊料理に違いない。
ジンギスカンだあ~
飛び込んだ。
中に入ると、民族衣装をまとった女の人が、靴を脱げという。
脱いだら、こちらにどうぞ・・と案内されたところが、
<
ゲル> だ。
モンゴルの住居である、ゲル(丸テント)が、作られている。
屈み込んで、座布団の上に座る。
周りに先客が座っている。
その客たちの体格がいい。
いいどころではない。
馬鹿でかい。太っている。
頭を見て驚いた。
チョンマゲを結っている!
お相撲さんではないか!
関取がごっちゃり、座って料理をがっついている。
ん?名古屋?
そうか、名古屋場所の真っ最中なのだ。
モンゴル出身の力士たちが、大勢、自国の郷土料理に
舌鼓を打っているのである。
先の女の人に、注文をしたいのだが、言葉が通じない。
仕方なく、メニュウの写真を指差し、
「コレとコレとコレね。ヨロシクね」
私まで、片言の日本語を喋っている。
ここは、日本国でなかったのか?
隣にいた、グループがモンゴル語で話かけてくる。
「ワタシ、コトバわかりませ~ん」
片言で応える。
ここは、どこの国なのだ。
その時、重大な事に気づいたのだ。
<ジンギスカン鍋がない>
実は、ジンギスカン鍋とは、日本料理だったのだ。
北海道料理だったのだ。
日本料理のくせに、モンゴル国の
英雄の名前を
堂々と名のっているのだ。
義経ナベ、武蔵ナベ と名のっていたのだ。
ところで、出された料理はすこぶる美味しかった。
(朝青龍も、来たかな?)
店を出る時、言葉が唯一通じる店長に聞いてみた。
「いつから、お店やってるんですか?」
『ええ、2週間前から』