昔こんな格言を聞いた覚えがある。
<みんなで遊びにゆく時、
若者は、おいて行かれるのを淋しく思い、
年寄りは、おいて行かれるのを楽しむ>
子供の頃、遠足の日、
風邪をひいて参加出来ないなんて事になったら、
この世の終わりが来たくらい淋しかった。
高校の頃、みんなと行く就学旅行やキャンプを
今か今かと待ち焦がれた。
その挙句、もし行けなかったとしたら、
その絶望感はいかほどのものだろうか?
そして、年月が流れた。
その今、
<
おいて行かれる>
という事に、どういう感慨を持っているか?
今、ミュージカルの舞台をやっている。
舞台には、やがて最終日、つまり千秋楽がやってくる。
千秋楽に付き物なのが、
打ち上げだ。
打ち上げる飲み会だ。
みんなでワイワイやる最高に楽しいひとときだ。
これまで、長い年月舞台をやってきて、
その打ち上げに、次の仕事の都合で、
参加出来ない事があった。
カンパ~イと言ったら、マネージャーに掴まれて
連れ去られるのである。
この刹那、久々に、子供の頃の淋しさを思い出す。
あまりにも淋しい。
さすがに、
この世の終わりとまでは思わないが、
泣き出したい気持ちに変わりない。
「お~い、おいてかないでくれ~」
まだ、無理だ。
あの格言をのたまった人物は、
相当人間が出来ていたに違いない。