昨日の続き
食事のあとには必ず
満足感がある筈だ。
との通説が成り立たない食事がある事がわかった。
一つ目は昨日語った。では二つ目
<
スイカ>
真夏の炎熱の中で食べるスイカは美味い。
最初の一口目をガブリとやった瞬間に
生きている実感を味わう。
ああ~生きていて良かったな、とさえ思う。
このまま、スイカだけで生きて行きたいとさえ思う。
スイカの無い暮らしが、もはや想像出来ない。
叶うことなら、スイカ畑の中に住んでいたい。
スイカにまみれた暮らしをしてみたい。
スイカだらけで、ダラケてみたい。
シャクシャクシャクシャク
食べ進む。
プップップップ
種を吐く。
口の周りはスイカの汁だらけ。
そんなことは知っちゃいない。
シャクシャクシャクシャク
ん・・?
赤い色が、少し透けてきた。
コレはそろそろ
食べるの終われという合図かな。
いやだ!
終わりたくない。
終わらせたくない。
この至福のひとときを、そう簡単に終わらせたくない。
急に性格がしつこくなる。
まだ、この
スイカは赤いと信じようとする。
何とか、上の歯、下の歯を駆使して、こそぎ取ろうとする。
「走れメロス、まだ太陽は沈まぬ!」
「食べろケンジロウ、まだ、このスイカは赤い!」
口の周りどころか、顔中ビチョビチョである。
髪の毛まで、汁が付いている。
「まだ、沈まぬぞ、ケンジロウ!」
カシューカシュー
うう~もうここまでか・・
~ゼイゼイ~
「友達はお前の事を信じているぞ、ケンジロウ!
さあ、立ち上がって、食べるんだ!まだこの
スイカは赤い!」
私は今、呆然自失の態である。
目の前には、
緑と白の物体が転がっている。
スイカというものが、
とてつもなく美味いものだということは再確認できた。
しかし、食べた直後のこの
空しさはナンだろう?
この
ポッカリ感はナンだろう?
まだ食べたいこの気持ちはどうしたらいいのだろう?
あんなに至福のひとときだったのに、
どうして、満足感が得られないのだろう?
食べ方に問題があったのだろうか?
メロスに手伝って貰ったのが、違反だったのだろうか?
昨日のカキ氷といい、スイカといい、
真夏を代表する、美味しいもの
二大巨匠は、
なぜか、最後に、プイッと横を向くのである。
白根あおい