暑い夏には、川だ。
川の上流だ。
上流には、速い瀬があり、必ずと言っていいほど、
<滝>がある。
滝ツボがある。
滝ツボを発見すると、堪らず飛び込みたくなる。
水着に着替えて、早速ザブザブ入り込む。
水着がなければ、着の身着のまま泳ぎ出す。
滝ツボの水は冷たい。
相当冷たい。
しかも、上から、天然のシャワーがザーザー降ってくる。
周りは、うだる様な暑さだというのに、
滝ツボだけは、痺れる様な涼しさだ。
身体が冷えてきたら、
滝に打たれる。
頭と肩に、怒涛のしぶきを浴びる。
水の力強さを実感する。
つい、必要もないのに、ぶつぶつと念仏の様なものを唱える。
修行僧にでも成り切っているらしい。
胸の前では、両手を合わせているではないか。
なんでも、その気にならないと気がすまないらしい。
もし、用意してあれば、白装束に着替えたかもしれない。
不思議なもので、アレだけの冷水を浴びているのに、
身体がポッポポッポ火照ってくる。
熱くなってくる。
ならば、ソレッ!
とばかり、滝ツボにダイブする。
深い滝ツボの中は、碧い
ソーダの泡にまみれている。
あまりの夏の暑さに、
「
ソーダのプールに飛び込みたい!」
と願った事があったが、
その願いが、滝ツボでは叶っている。
「
ビールのプールに飛び込みたい!」
と願った事があったが、
その願いが、滝ツボで、
やや叶っている。