<ギアラ>が美味い。
ギアラとは、数年前から、
焼き肉屋で盛んに出される様になった部位だ。
関西では、<赤セン>と云う。
牛には胃袋が4つある。
【ミノ、ハチノス、せんまい、
ギアラ】
4つの中で、最も脂肪分を大量に含み、
口に放り込んだ時の芳醇さは、ホルモン好きには堪らない。
かなりのホルモン好きの私。
年季の入ったホルモン野郎。
焼き肉屋に入ると、まずホルモンを注文する。
カルビだの、ロースだのは目もくれない。
そして、メニューにギアラが書いてあれば、
「
ギアラ下さい!」
即座に声が出る。
「2人前下さい!」
始めから2人前注文する。
私のテーブルの横を通りかかった人が見たら、
ビールとギアラだけで、食事をしている人間を見る事になる。
一時間ほどして、又通りかかったら、
全く変らず、ビールとギアラだけの食事風景を目にするだろう。
私にとって、良い焼き肉屋か、悪い焼き肉屋かの判断は、
ギアラを置いてあるか、置いてないかだけである。
以前、良い焼き肉屋に入ったときの事だ。
マネージャーと一緒だった。
お互い好きなものを注文する事にした。
当然、私は最初から、ギアラでとばす。
ギアラ一辺倒で押し倒す。
「すいませ~ん、
ギアラくださ~い!」
「
ギアラ、お願いしま~す!」
一皿、二皿とギアラのオカワリは続く。
「
すいませ~ん、ギア」
『あのイシマルさん、やめたほうがいいですよ』
突然、マネージャーがのたまう。
「なんで?」
『一応イシマルさんは役者なんだから、みっともないですよ』
「なんで?」
『だって、さっきから、
ギャラ下さい、ギャラ下さいって・・』